最新リタイアメントプランニング事情

08年デジハリ・マネーカフェ・団塊サポート3社共催新春セミナー風景

第2回 各国事情と高福祉化の度合い

 さて、前回のアメリカ合衆国に続いて、他の国々の状況もいくつかみてみましょう。オランダでは高齢者が自分の家で、より長く自分自身で生活ができるように、地方自治体が高齢者の住宅建設や支援サービスを提供しています。

例えば、トイレや廊下に手すりを取り付け、バリアフリーに改装したりするのは「無料」(つまり自治体負担)になっていますし、独居老人に対してはポケベルサービス(発作や緊急時に自動的に救援を呼ぶシステム)を安価(日本円で500円程度)で提供しています。

また、一人で電車やバスなどの公共交通機関が利用し難くなってきた場合には、グループタクシーが公共交通機関の料金と同額で利用できたり、場合(所得等)によってはタクシーを利用してもその差額が還付される、という制度があったりするようです。

住宅については日本でもお手本にしているようで、昨今の税制改正に伴って、バリアフリー住宅への回収の費用をローンで負担した場合には、住宅取得と同様に控除が受けられるようになってきました。しかし、とても「無料」というわけにはいかず、今後の行政の支援策が注目されるところです。

また、高福祉国家の代表として常に例に出されるスウェーデンですが、はたしてその財源はどのあたりにあるのでしょうか?

高福祉高負担とよく言われますが、スウェーデンのGDPに対する個人所得税は18.5%、法人税は3.2%となっており、日本の個人所得税9.2%、法人税3.8%と比較しても、個人に対する税負担割合が高いのが特徴です。

しかし、本稿ではあまり関係が無いのでこれ以上の深堀はやめておきますが、スウェーデンの法人税率、為替レート、労働力スキル等を勘案した場合の対製造業コストは欧州の中でも低位に属しているとだけ触れておきましょう。

最後に、おとなり中国の事情も少しみておきましょう。中国のシニア産業の事業規模は2010年には約21兆円とも言われており、現在でも例えば上海では約5万人が高齢者住宅を希望しているにもかかわらず、開発会社は1社しかないという状況のようで、日本を含めた諸外国の進出が今後のシニア環境に大きく影響を及ぼすのは間違いないようです。

また、老人ホームの現状についても相当問題があるようで、人口増加、高齢化への対処の度合いは日本の過去を彷彿とするものがあるようです。(続く)



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